「なんだかうちの子、最近よくお腹が痛いって言うけど、病院では異常なし…」
「学校に行く前になると、決まって頭が痛くなるみたい…」
大切なお子さんの原因不明の体調不良に、心を痛めている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もしかしたら、それは「身体化」(しんたいか)という、心からの大切なメッセージかもしれません。
「お腹が痛い…」は本当?
子どもの頃、運動会や発表会など、緊張するイベントの前に急にお腹が痛くなった経験はありませんか?
「気のせいだよ」「行きなさい」と言われても、痛みはなかなか消えなかったかもしれません。 心のストレスや不安が、体の痛みや不調として現れること、これを「身体化」と呼びます。
それは決して「気のせい」や「仮病」ではありません。ご本人は本当に辛い痛みや苦しさを感じています。周りから理解されにくく、本人も原因がわからないこともあるため、一人で孤独感を抱えてしまうことも少なくありません。
心のSOSは、体のさまざまな部分にサインを送ります。
痛みの症状: 頭痛、腹痛、背中の痛み、胸の痛み
消化器系の症状: 吐き気、下痢、便秘
神経系の症状: めまい、ふらつき、しびれ
全身症状: 体が重い、疲れやすい、動悸、息切れ
これらの症状は、検査をしても医学的な異常が見つからないことが特徴です。また、苦手なことやストレスのかかる状況の前など、特定のタイミングで症状が出やすくなる傾向もあります。
もし、お子さんが身体の不調を訴えたとき、原因がわからなくても、頭ごなしに「気のせいじゃない?」と否定せず、まずは「そっか、お腹が痛いんだね。辛いね」と、その子の気持ちに寄り添ってあげてください。
安心できる場所で、ただ気持ちを受け止めてもらえるだけで、子どもの心はふっと軽くなります。
なぜ体調が悪くなるのか、その背景にある心の声に親子で耳を澄ませてみる。それは、お子さん自身がこれから先の人生で困難にぶつかったとき、自分の心と向き合い、乗り越えていくための大切なスキルを育むことにつながります。
うまくいかないピンチの時こそ、親子の信頼関係がより一層深まる「雨降って地固まる」ような、かけがえのない時間になるかもしれません。
そしてこのお話は、お子さんだけの話ではありません。 毎日、子育てや家事、仕事に追われる中で、ご自身の原因不明の不調に悩んでいる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
「特定の曜日になると体が重い」「理由はないのに、なんだか息苦しい」
もし、ご自身やお子さまのことで思い当たることがあれば、それは「少し休んで」「がんばりすぎだよ」という、ご自身の心からのメッセージです。
当事業では、そんなお一人お一人の心に丁寧に寄り添い、絡まった糸を一緒に解きほぐしていくお手伝いができればと考えております。どうぞ、ひとりで抱え込まずに、些細なことでもお気軽にご相談ください。
当相談室「オンラインカウンセリング こころのもり」は、お子さまの発達と、それを支える保護者の方、両方のための相談室です。
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