子育ては、保護者の感情が大きく揺さぶられる日々の連続です。我が子を愛しいと思うポジティブな気持ちから、ほんの少しでいいから静かに過ごしたいと感じるネガティブな気持ちまで、その振れ幅はとても大きいもの。
そんな大変な毎日の中でも、「我が子のために、できる限りのことをしてあげたい」と願い、育児書を読んだり、情報を集めたりして、懸命に向き合っている方は本当に多いと思います。
しかし、知れば知るほど、理想の育てる環境と、目の前の現実とのギャップに頭を抱えてしまう…。そんな苦しさを感じてはいませんか?
育児書に書かれているノウハウは、子育ての先人たちが築き上げた、とても有益な知恵の結晶です。しかし、忘れてはならない大切な事実があります。それは、目の前にいる我が子は、育児書のモデルになったお子さんとは違う、かけがえのない唯一無二の存在である、ということです。
唯一無二であるということは、子育てが必ずしも育児書の通りに進まないのが「当たり前」だということ。小食な子もいれば、たくさん食べる子もいる。インドア派の子もいれば、アウトドア派の子もいる。大人に様々なタイプがいるように、お子さまにも全く逆のタイプがいて当然なのです。
「お子さまを諭す時は、否定的な言葉ではなく肯定的な言葉で伝えましょう」
「お子さまの良い面に注目しましょう」
これらは確かに理想的な関わり方です。しかし、例えばお子さまが激しく癇癪を起こしている時、とっさにわが子の安全を守る場面で、冷静に「肯定的な言葉を選ぼう」と考える余裕がない日があるのは、当然のことです。
疲労がたまっている中で、常にポジティブな側面を見続けるのが難しい日もあります。どんなに深い愛情があっても、私たち保護者も一人の人間です。教科書通りに実行できるキャパシティを超えてしまう瞬間があって、当たり前なのです。
本来、育児書などに書かれている「理想」は、保護者を完璧な基準で縛りつけ、プレッシャーを与えるためにあるのではありません。それは、暗闇の中の灯台のように、子育てという航路の目指す方向を照らし、一つの「基準」を示してくれるためのものです。
ですから、理想を目指すことは素晴らしいことです。しかし、それ以上に、子育てにおける必須項目の一つは、保護者自身の心と体が健康であることだと、私たちは考えています。
育児書通りに過ごせない日々が続いても、自分を責めないでください。長い目で見れば、その一日一日は、お子様の成長にそれほど大きな影響はないのかもしれません。「教科書通りにいかないこと」それ自体が、現実での子育ての「教科書」の一ページなのですから。
とはいえ、そう楽観的に考えられないほど、追い詰められてしまう日もありますよね。
当相談室は、そういった理想論やきれいごとでは済まされない、あなたと、あなたの家庭だけの「答え」を、一緒に見つけていきたいと思っています。
当相談室「オンライン心理相談 こころのもり」は、お子さまの発達と、それを支える保護者の方、両方のための相談室です。
言葉の育ち、集団生活でのお悩み、育児の中で感じるさまざまな想いを、どうぞお気軽にお話しください。