園の先生との面談や健診などで『グレーゾーン』という言葉を聞いて、ドキッとした経験はありませんか? インターネットで検索すればするほど、ネガティブな情報ばかりが目につき、『うちの子は、どうなってしまうのだろう…』と、不安な夜を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。 でも、『グレーゾーン』という言葉は、お子さんを追い詰めるためのものではなく、その子に合ったサポートを見つけるための、大切な「手がかり」なのです。
そもそも『グレーゾーン』とは、正式な医学的な診断名ではありません。 発達障害(自閉スペクトラム症やADHDなど)の特性をいくつか持っているけれど、診断基準をすべて満たすわけではない状態を指す言葉です。診断はつかないけれど、日々の生活での困りごとがゼロではない、という状態を理解しやすくするための名称です。 発達は「白か黒か」ではありません。誰もが、得意なことと苦手なことの「凸凹(でこぼこ)」を持っています。『グレーゾーン』も、その子だけが持つ、凸凹の形の一つなのです。
ここで最も大切なのは、『グレーゾーン』という分類にこだわることではありません。 その言葉をきっかけに、「我が子のために、具体的に何ができるのか?」を考えることです。
得意なことは何だろう?(驚くほどの集中力、ユニークな発想など)
苦手なことは何だろう?(急な予定変更、大きな音、口頭での指示など)
「うちの子はここは苦手だけど、こっちは得意!」と、その子の「得意」と「苦手」の形を見つめることが、向き合い方の第一歩になります。
お子さんの得意なこと、苦手なことが見えてきたら、具体的な関わり方を試してみましょう。
1. 『得意』を伸ばし、自信の土台を作る
苦手なことばかりに目が向きがちですが、お子さんが夢中になる『得意』なことを見つけ、一緒に楽しんであげてください。「あなたが作った〇〇はとても素敵だね!」と褒められた経験は、自己肯定感という、最も大切な心の土台を育みます。
2. 『苦手』はスモールステップで、課題を『見える化』する
苦手なことへの挑戦は、小さな段階に分けましょう。例えば、お片付けが苦手なら「まず、黄色のブロックだけ箱に入れてね」と具体的に伝えます。また、絵や写真で示す『見える化』は、言葉の指示だけでは動きにくいお子さんにとって、先の見通しが立ち、不安を和らげることになります。
3. 『できたこと』を具体的に褒める
ただ「すごい!」だけでなく、「〇〇ができたんだね!ママ(パパ)嬉しいな」と、具体的にできたことを言葉にしてあげましょう。自分が何を認められたのかが分かり、次の意欲につながります。
『グレーゾーン』という言葉は、不安の始まりではなく、お子さんの個性に合った関わり方を見つける、「手がかり」です。 もし、お子さんとの向き合い方に迷ったり、保護者の方自身の気持ちが苦しくなったりした時は、どうか一人で抱え込まないでください。
当相談室では、その子に合ったサポートを保護者の方と一緒に考えさせていただきます。まずはお気軽にお話をお聞かせください。
当相談室「オンライン心理相談 こころのもり」は、お子さまの発達と、それを支える保護者の方、両方のための相談室です。
言葉の育ち、集団生活でのお悩み、育児の中で感じるさまざまな想いを、どうぞお気軽にお話しください。